インフルエンサー広告は費用対効果が高いと言われていますが、インフルエンサーによっても効果が変わるなどコツが必要な広告手法です。
そのため、代理店に依頼することが一般的ですが、担当者の方も基本的な知識を持っておくことで費用対効果の高いインフルエンサーを選ぶことができます。
そこで、本記事ではインフルエンサー広告の基本から応用まで徹底解説していきます。
インフルエンサー広告とは?
インフルエンサー広告とは、SNS上で大きな影響力を持つ芸能人や一般人を活用した広告手法です。
一般的な広告と異なり、ユーザーのリアルな声が反映されるため、購入されやすい傾向にあると言われています。
それではここから、インフルエンサーの種類やその特徴についてインフルエンサー市場と合わせてご紹介します。
インフルエンサーとは?
インフルエンサーとは、影響や勢力、効果といった意味を持つ「influence」という英語が語源で、世間や人の思考・行動に大きな影響を与える人物のことを指します。
- スポーツ選手
- テレビタレント
- ファッションモデル
- 特定の分野の専門家
- インターネット上で影響力を持つ一般人
- インターネット上で影響力を持つブロガー
特にFacebookやInstagram、TwitterといったSNSなど、インターネットの消費者発信型メディア(CGM)での情報発信によって、ユーザーに大きな影響を与える人物を指して使うことが多いです。
ユーチューバー(YouTuber)やインスタグラマーなど、特定のSNSのインフルエンサーを指す用語も定着し、近年は一般的に使われるようになっています。
さらにインフルエンサーを細かく分類すると、下の図のように「トップインフルエンサー」「ミドルインフルエンサー」「マイクロインフルエンサー」「ナノインフルエンサー」の4種類に分けることができます。
メガインフルエンサー
フォロワー数が数十万や100万人を超えるような、知名度が非常に高いインフルエンサーがメガインフルエンサーまたはトップインフルエンサーです。
主にテレビなどのメディア露出が多い芸能人や著名人が多くこのカテゴリーに該当します。
- きゃりーぱみゅぱみゅ さん Twitterフォロワー:約500万人
- 渡辺直美 さん Instagramフォロワー:約950万人
- ローラ さん Instagramフォロワー:約750万人
※いずれも2022年4月25日時点のフォロワー数です。
フォロワー数が多いため影響力が大きく、情報を届ける「リーチ力」は高い傾向にありますが、「コメント」や「いいね」「リツイート」「シェア」といったエンゲージメント(リアクション)は少なくなる傾向にあります。
ミドルインフルエンサー
ミドルインフルエンサーは、フォロワー数が10万人を超えているインフルエンサーのことです。
メガインフルエンサーほどではないものの、メディア露出や書籍出版などを行っているインフルエンサーも見られます。SNSでは絶大な影響力を持ち、特定のコミュニティーで支持を集めている場合が多いです。
- 吉瀬美智子 さん Instagramフォロワー数:61万人
- 関口メンディー さん Instagramフォロワー数:88万人
- 前田敦子 さん Instagramフォロワー数:81万人
※いずれも2022年4月25日時点のフォロワー数です。
マイクロインフルエンサー
フォロワー数が1万~10万人程度のインフルエンサーです。このカテゴリーになると、事務所に所属している芸能人だけでなく一般人も多く当てはまります。
料理やファッション、美容など、特定のジャンルに対する情報拡散能力が高いのが特徴です。また、メガインフルエンサーやミドルインフルエンサーに比べてフォロワーとの距離感が近く、エンゲージメント率は高い傾向にあります。
ナノインフルエンサー
フォロワー数が数千~1万人程度だと、ナノインフルエンサーに分類されます。
マイクロインフルエンサー以上に狭いコミュニティーに対する影響力が強く、フォロワーとの関係性が密接なのが特徴です。
フォロワーからは友人や知り合いとして認識されている場合もあり、投稿に対する「コメント」や「いいね」といったリアクションが起きる比率は非常に高い傾向にあります。
インフルエンサーマーケティングの市場規模
インフルエンサーマーケティング市場の規模について、以下で解説します。日本と海外の違いについても、知っておきましょう。
日本の市場規模
サイバーバズ/デジタルインファクトが2020年に行ったソーシャルメディアマーケティングの市場規模調査によると、2021年のインフルエンサーマーケティング市場は317億円。
2021年は425億円、さらに2025年には2020年比約2.3倍の723億円規模に成長する見込みとなっています。
インフルエンサーマーケティング自体は、2013年~2014年頃から市場を広げ始めました。当時は芸能人や有名ブロガーが広告塔の中心でしたが、2015年頃からSNSで人気がある一般人が「インフルエンサー」として台頭してきました。
さらに同調査によると、ソーシャルメディア(SNS)マーケティングの市場規模も2025年に1兆1,000億円を超える成長をする見込みと試算されています。
新型コロナウィルスの影響によるオンラインシフトに伴いSNSの利用者が増えたことで、消費者に寄り添いコミュニケーションができるインフルエンサーマーケティングには今後も大きな注目と期待が寄せられています。
海外の市場規模
以下の画像は、InfluencerMarketingHubが公表している海外の市場規模の推計とMediakixが予想した2022年の市場規模を基に作成したグラフです。
常に日本の10倍以上の大きさで成長している世界のインフルエンサーマーケティング市場ですが、2021年以降に1兆円を超え、2022年には1.5兆円にまで上ると予想されています。
インフルエンサー広告のメリット(費用対効果が高いと言われる理由)
インフルエンサー広告は、広告手法の中でも費用対効果が高いとよく言われており、従来のマーケティング手法と比べて、柔軟な施策展開が可能な点や、消費者目線でレビューできるといったメリットがあります。
- 消費者目線のレビューを発信してもらえる
- 柔軟なマーケティング施策を行うことができる
- ターゲット設定がしやすい
- クチコミ拡散と一般ユーザーの投稿(UGC)を増やせる
- オンライン販売と相性がいい
- SNS(インターネット)上で行われるためデータが取得でき効果分析がしやすい
- 製品のイメージがつきやすい
まずはメリットの部分を説明しましょう。
メリット①|消費者目線のレビューを発信してもらえる
インフルエンサーは企業発信の情報と異なり、実際に製品やサービスの良し悪しを「消費者目線で」丁寧にレビューしてくれます。
宣材写真や広告的なイメージではなく、いちユーザーとして商品を使用し感想を述べることから、情報としても「広告っぽい」という印象も少ないと言えるでしょう。
実際の消費者としての発信は説得力が高いため、見ているユーザーの興味関心や共感の獲得に貢献してくれるのは大きなメリットです。
さらに現行製品へのフィードバックによって品質改善や新製品開発にもつなげることも可能です。
メリット②|柔軟なマーケティング施策展開ができる
インフルエンサーマーケティングは様々な形で施策を行える点で優秀であり、主に以下のようなものがあります。
- ギフティング
- 現地訪問
- 商品監修・コラボレーション
- ライブコマース
- アンバサダー
それぞれの項目を詳しく解説すると以下のようになります。
・ギフティング
インフルエンサーの自宅に製品を送り、体験した感想をSNSに投稿してもらう。アプリなどのオンライン体験も可能。
・現地訪問
インフルエンサーを店舗やイベント、観光地などへ招き、現場レポート。ゲストとして登壇してもらうことで集客も行える。
・商品監修・コラボレーション
消費者視点と最新トレンドを取り入れたターゲットに刺さる製品・企画の監修やコラボアイテムの共同制作を行う。
・ライブコマース
ライブ配信にてインフルエンサーに商品紹介をしてもらう。リアルタイムの質疑応答が可能であり、不安を解消することでそのまま購買につなげやすい。
・アンバサダー
ブランド専任の広告塔として長期的なパートナーシップを結び、ブランドの魅力を発信してもらう。
また、ブランド認知度を高めたり、製品の購入を促したい場合などにも、活用することができます。
このように、自社ビジネスの形態やマーケティングの目的によって柔軟に施策を実施できることは大きなメリットです。
メリット③|ターゲティングがしやすい
ファッション、コスメ、グルメ、旅行など、それぞれのジャンルに特化したインフルエンサーはそのジャンルへの興味関心が高いフォロワーを多く抱えています。
したがって、起用するインフルエンサーにより年代別、男女別、ジャンル別でターゲティングが可能な点はマーケティングを行う上でメリットとなります。
たとえばファッションインフルエンサーに製品をPRしてもらうことで、ファッションに興味関心の高い人たちへインフルエンサーの口コミと共に自社商材を効果的に訴求することができます。
メリット④|口コミの拡散とUGCの獲得が期待できる
インフルエンサーはターゲットにとって共感性の高いコンテンツを生みだしてくれるため、質の良い「口コミ」がターゲット間でより拡散されやすくなります。
口コミが書き込みされ、拡散されると次にUGCを獲得することにもつながります。
UGCとは、「一般ユーザーによって作られたコンテンツ」のことです。
「User Generated Content」の略で、ユーザー生成コンテンツと呼ばれ、具体的には、個人のSNSの投稿、写真、ブログなど、消費者発信で作成されたコンテンツを指します。
UGCコンテンツの具体例では、以下のようなSNSの投稿・ブログなど、消費者発信のコンテンツが代表的なものとなります。
発生するタイミング | 作成されたUGC |
---|---|
飲食店を探すとき | 食べログのレビュー |
家電を探すとき | 価格.comの商品購入者の声 |
本を探すとき | Amazonの商品レビュー |
化粧品を探すとき | アットコスメの投稿 |
旅行先の観光地を探すとき | トリップアドバイザーのレビュー |
転職先を探すとき | 企業クチコミサイトの投稿 |
日常で頻繁に触れている情報であったり、よく頼りにしている情報源がUGCによって作られています。
メリット⑤|UGCが増えることによるメリットは?
ファンととなったユーザーが増えることでブランドの話題性や製品の信頼性を高めることにもつながります。
UGCを見たユーザーが、商品を購入し、さらに口コミを行うなど拡散にもつながる傾向にあり、その火付け役となるのがインフルエンサーといえます。
メリット⑥|オンライン販売と相性が良い
日本の主要SNSはURLを貼ったり、SNSのショッピング機能を活用することで自社のオンラインショップに直接遷移させることができます。
たとえば、インフルエンサーのPR投稿からECサイトのキャンペーンに直接移動させることで、商品に対して好意的なユーザーからの購買が進むなど、オンライン販売に対して大きなメリットがあります。
メリット⑦|インターネット上で行われるためデータを元に効果分析がしやすい
インフルエンサーマーケティングは、ほとんどがインターネット上で行われるため、「リーチ数」「エンゲージメント数・率」「シェア数」「サイト遷移数」「製品購入数」などデータの取得と分析が可能になります。
- リーチ数
- エンゲージメント数・率
- シェア数
- サイト遷移数
- 製品購入数 など
そのため投稿やインサイトを分析することで、どの商品や投稿がユーザーから受け入れられやすいかがわかります。
以下の図はSNSが購買行動にどのくらい影響が受けるかをまとめたデータですが、特に10代から30代までの多くの人が影響を受けると回答しています。
メリット⑧|製品のイメージがつきやすい
インフルエンサーは、企業から依頼された製品を自分のSNS上において実際に使用し詳細で正直な感想を紹介してくれます。
フォロワーは、自分の好きなインフルエンサーが実際に使用している製品を見ることで「自分ゴト化」しやすく、具体的なイメージを掴むことが可能。したがって、消費者に対して製品のイメージを伝えやすく、購買意欲を掻き立てることにつながります。
インフルエンサー広告のでデメリット
インフルエンサー広告はメリットも多いのですが、デメリットも存在ます。
よく理解した状態で施策を行うことが重要ですので、インフルエンサー広告を行う上では、以下の内容は注意するようお気を付けください。
- インフルエンサーの選定が難しい
- ステマによる炎上リスク
インフルエンサーの選定が難しい
インフルエンサーマーケティングの実施によって生じやすいデメリットとして、起用するインフルエンサーの選定が非常に難しいという点があげられます。
インフルエンサーマーケティングでは、インフルエンサーの選定によってマーケティングが成功するかどうかが決まるといっても過言ではありません。
企業の目的に沿った高い成果が見込めるインフルエンサ―の選定を慎重に行う必要があります。
集客力や拡散力ばかりを重視して、インフルエンサーの「フォロワー数」のみで選定するのではなく、ブランドとインフルエンサーの親和性やフォロワーの関係性、過去のPRの投稿内容なども加味して選定を行いましょう。
ステマによる炎上リスクがある
ステマ(ステルスマーケティング)とは、企業から報酬をもらって製品のPRを依頼されているにもかかわらず、そのことを隠し、「良いものを見つけた」とあたかも自然に製品を見つけたように宣伝をしフォロワーを欺く行為です。
ステマが発覚すると、炎上し、ブランドや企業が社会的信用を失う重大な事態に陥る可能性もあるため、インフルエンサーマーケティング実施の際には細心の注意が必要です。
炎上を回避するために高いリテラシーを維持する必要がある
SNS上で活躍しているインフルエンサーにとって、自らの投稿で社会から批判を浴びることは非常に大きなダメージとなります。
また起用していたインフルエンサーが批判の的になれば、インフルエンサーマーケティング自体も停止せざる負えない状況に陥ってしまう可能性もあります。
そのため、ステマ以外にも商品のPRをSNS上で行う際には、モラルや配慮にかけた投稿をしないように常に心掛ける必要があります。
批判を受けない宣伝を行うためには「あくまでも情報を受け取るのは人である」ということを念頭に置き、常に社会の同行を把握して高いリテラシーを維持することが必要不可欠です。
インフルエンサーのコントロールが難しい
インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーという「人」が絡む性質上、コントロールしにくい場面が出てきます。
たとえば、インフルエンサーが自らの言葉・表現によりユーザーに対して製品のPRをする性質上、事前に丁寧なすり合わせをしておかないと企業の意図とずれた表現になってしまうこともありえます。
また、イベントに複数名のインフルエンサーを招待した場合、体調管理、遅刻・欠席、当日の進行、などマネジメントする要素は多くなり、インフルエンサーのコントロールが大変になります。
もちろんインフルエンサーは、ビジネスパートナーとして誠意をもって対応してくれますが、予期せぬ問題に見舞われることもあるため注意が必要です。
インフルエンサー広告を成功に導くために企業がやるべき事
デメリットについては、もちろん注意したうえで運用を行っていただきたいですが、費用対効果を上げ、成功へと導くための行動もあります。
取り組む際にも以下についての確認も必須といえるでしょう。
1. インフルエンサーマーケティングを行う目的を適切に設定する
インフルエンサーマーケティングを行う際は、自社ブランドとターゲットとする消費者の熱量(購買フェーズ)に応じて施策内容を最適化させることで、効果を高めることができます。
ブランドの認知を広めるフェーズと、購買を促すフェーズではインフルエンサーマーケティングの施策内容が変わってきます。
たとえば新規ブランドの購買を促すためにマイクロインフルエンサーに商品PRを依頼しても、そもそも認知されていない商品を人は買いません。
よって、まずは新ブランドの認知拡大を進めるために、複数のマイクロ~メガインフルエンサーに依頼し商品を広く認知させてもらうことを目的としてマーケティング施策を行うとよいでしょう。
2. インフルエンサーマーケティングの施策目的にあわせて適切なKPIを設定する
インフルエンサーマーケティングを成功させるための1つめのポイントは、インフルエンサーマーケティングのKPIを明確にすることです。
KPIとは重要業績評価指標と呼ばれる、マーケティング施策の4つのゴールとして掲げられる指標のことを指します。
KPIには次のような項目があります。
- 認知獲得
- 興味関心の向上
- 見込み客増加
- 購買
①認知獲得
認知獲得を目的としたインフルエンサーマーケティングでは、「コンテンツがどれだけ多くの人の目に触れたか」という点が重要です。
そのため、認知獲得を目的としたインフルエンサーマーケティングのKPIを立てる際の指標としては以下のものがあげられます。
指標 | 計測内容 |
---|---|
インプレッション数 | 投稿がユーザーの画面に表示された回数 |
リーチ数 | 投稿を見たユーザーの数 |
シェア数 | 投稿がシェアされた数 |
動画再生数 | 動画が再生された回数 |
いずれの指標を達成する際にも、商品やブランドの認知獲得を目的としたインフルエンサーマーケティングの場合は、起用するインフルエンサーの情報拡散力が成功の要になります。
そのため、フォロワーが多く情報拡散力が圧倒的に大きいインフルエンサーを起用する必要があります。
②興味関心の向上
商品やブランドに対する興味関心の向上を目的としたインフルエンサーマーケティングでは、投稿やライブを見た「ユーザーからの反応」を獲得できるかに注目して進めていきます。
興味関心の向上を目的としてインフルエンサーマーケティングのKPIを立てる際に参考になる指標には、以下のようなものがあります。
指標 | 計測内容 |
---|---|
いいね数・率 | コンテンツへのいいね数、コンテンツを見た人の中からいいねした人の割合 |
動画視聴完了数・率 | 最後まで動画を視聴した人の数、動画を見た人に占める視聴完了者の獲得 |
コメント数・質 | コンテンツに対する獲得コメントの数、ブランドに興味を持ったコメントの数 |
自社アカウントフォロワー数 | インフルエンサーマーケティング中・終了後のSNSアカウントのフォロワー増加数 |
URLクリック数・率 | 自社ブランドサイト、ランディングページのURLリンククリック数・率 |
UGC数 | 製品やサービス、ブランドについてのユーザーのSNS投稿数 |
クリック単価 | 目的のページ到達への1クリックを獲得するまでにかかった費用 |
興味関心の向上をKPIとしたインフルエンサーマーケティングでは、SNSキャンペーンも同時に行う場合がほとんどです。そのため、商品自体ではなくSNSで行うキャンペーンの告知をインフルエンサーに依頼するのが効果的です。
③見込み客増加
見込み顧客増加をインフルエンサーマーケティングのKPIとする際には、「詳細なレビューの獲得」や「消費者との接触、情報獲得」を意識する必要があります。
見込み顧客とは、消費者にブランド製品に関する検索や調査・比較検討を通して購買意欲が高めることに成功しているユーザーのことを指します。
見込み顧客増加のためのKPIには以下のような例があげられます。
指標 | 計測タイミング・内容 |
---|---|
レビュー獲得数 | モニターなどによる詳細なレビューの獲得数 |
質問コメントやDMの数・質 | 商品・サービスに関する筆問、気になるなどの購買熱量の高いコメントの獲得 |
SNS経由サイト滞在時間、回遊数 | SNSを経由したサイト訪問者のサイト滞在時間、回遊率 |
動画再生数 | 動画が再生された回数 |
クリック単価 | 目的のページ到達への1クリックの獲得にかかった費用 |
見込み客の増加や購買意欲の増加をKPIとしてインフルエンサーマーケティングでを成功させるには、その商品の細かいレビューを多くの人に見てもらいう必要があります。そのため普段から担当している商品のレビューが丁寧なインフルエンサーを起用するようにしましょう。
④購買
購買率の上昇を目的としたインフルエンサーマーケティングのKPIでは、単純に「商品の購入」につながるプロセスに焦点をあてた指標を設定します。購買目的としてKPIを立てる際の指標は以下の通りです。
指標 | 計測タイミング・内容 |
---|---|
SNS経由サイト遷移数 | SNSのURL経由で自社サイトに訪問したユーザーの数 |
ユーザー登録数 | 自社サイトに登録してある消費者の情報登録数 |
購入数、売上、利益 | 製品・サービスの購入数、それに伴う売り上げと利益の額 |
獲得単価 | 売り上げ1件の獲得にかかった費用 |
購入率を高めるためにインフルエンサーマーケティングを行う場合、フォロワーが数百万にいる人気インフルエンサーとともにフォロワーの少ないマイクロインフルエンサーも起用すると効果的です。
マイクロインフルエンサーは人気のインフルエンサーと比べて拡散力などは劣るものの、その分消費者との距離が近く購入の最後の後押しにも効果的です。
3. 自社ブランドおよび自社のターゲットと親和性の高いインフルエンサーを選定する
インフルエンサー広告では、自社のターゲット層を多く抱えるインフルエンサーを起用することが重要です。
たとえば、自社ブランドのターゲットが20代女性の場合、「20代女性のインフルエンサー」を起用しても、実は30代男性のフォロワーが多いという可能性もあり得ます。
過去のPR投稿を確認して、丁寧にPRしているか、コメント欄のターゲットの反響は良かったかなどをチェックしておき、施策の効果を最大化させるインフルエンサーを選定しましょう。
4. インフルエンサーを柔軟に管理しステマも防止する
ステマとは「ステルスマーケティング(Stealth Marketing)」の略で、企業が自社の商品やサービスを一般消費者に向けてPRする際に、それが広告であることを隠して宣伝活動を行うことを指します。
消費者を騙すような手法であるにも関わらず、日本ではステマを違法とする明確な法律が存在しないため、未だに問題となることがあります。
法律で罰することが難しいとは言え、「やらせ」や「サクラ」と同類と捉えられるステマの宣伝手法は非難の対象となり、いわゆる「炎上」リスクがあることを忘れてはなりません。
インフルエンサーマーケティングとステマの違い
インフルエンサーマーケティングやステマは、どちらも第三者が関わり企業の商品やサービスをPRするマーケティング活動ですが、両者の大きな違いは情報発信をする際に広告であることを明記しているかどうかという点です。
ステマは、あたかも一般消費者やファンであるかのように装うことで、一時的には注目が集まりイメージアップや売り上げアップに繋がります。
しかし、このような行為が発覚した場合には非難の対象となるのは言うまでもありません。
【防止方法】企業とインフルエンサーの関係を記載する
ステマと誤認されないための防止策の結論としては以下となります。
- インフルエンサーに依頼する際は必ず関係値を明確にユーザーに伝えること
- インフルエンサーのPR投稿はあらかじめ下書きをチェックすること
ステマと認識されるケースとしては企業とインフルエンサーの関係性を隠す行為や虚偽の情報を伝えることです。
ですので、そこを隠さずはっきりと記載することで印象悪化とステマと認識されるのを防ぐことができます。
ただ、現在でもやはり企業との関係値を伏せて宣伝してくれたほうが、インフルエンサーの情報のリアル差が増し、興味をもってくれるユーザーが増えると考えている企業もいます。
確かに、完全に企業との関係値を伏せることに成功すれば、インフルエンサーが愛用している物をおすすめしていると感じるユーザーが増える可能性はあります。
ですが発覚した時には炎上し商品やサービスが売れないどころか企業イメージにも大きく影響するので注意しましょう。
5. インフルエンサーに裁量を持たせて力を発揮できるように努める
「あれも伝えてほしい」「この情報も入れてほしい」とブランド側からの要求が多すぎると、自由度が無くなり、インフルエンサー本来の魅力を発揮できなくなってしまいます。
いつもと違う雰囲気の投稿をインフルエンサーがしてしまうと、フォロワーが違和感を感じ、投稿への反応(エンゲージメント)が低くなってしまうためです。
ブランドはあくまで最低限のお願いをして、あとはインフルエンサーの裁量に任せることもインフルエンサーマーケティングにおいて重要なポイントとなります。
インフルエンサーマーケティングでよく使われているSNSの種類
インフルエンサーマーケティングでは、各SNSによって配信の内容や特徴がそれぞれ異なります。そのため活用シーンや特徴についてもSNSの種類をも大前提として把握しておくことも重要です。
各SNSの特長と選定ポイント
次にインフルエンサーが情報配信を行う各SNSについて紹介します。それぞれの特長や選定ポイントを紹介するようにいたします。
Youtube(ユーチューブ)
Youtube(ユーチューブ)は動画コンテンツを配信するSNSです。動画であるため文字では表現できない投稿者の感情や心情が視聴者に伝わりやすいのが大きな特徴です。
10代~50代にかけて幅広いユーザーが利用しています。さらに、小さな子供のいる家庭では育児の中でYoutubeを見せているケースも一般化しており、小さな子供向けのチャンネルも需要が高まっています。
動画の中にボタンを追加して自社サイトに遷移させるといったこともできるので、例えば商品の説明を動画でしつつ最後にユーザーをECサイトに誘導するといった使い方ができます。
訴求力が高くユーザーのネクストアクションを促しやすいため購買につなげやすいプラットフォームといえるでしょう。
Instagram(インスタグラム)
Instagram(インスタグラム)は写真・動画をメインに投稿するSNSです。
従来は20代~30代の女性がメインユーザーでしたが、2019年6月のInstagram公式発表によると、ユーザの男女比は女性53%、男性47%となっており男女問わず幅広い人気を集めているSNSとなっています。
また年代も30~50代の男性、女性の利用率も高まり、情報収集のツールとして最も活用されているSNSと言えます。
グルメ、ファッション、美容、インテリア、旅行といった「写真映え」するものと相性がよく、後述するタレントやインスタグラマーとタイアップしてのPR投稿など幅広く活用されています。
「ストーリーズ」「リール」「IGTV」など、Z世代やミレニアル世代と相性の良いスマホ全画面の縦型動画を共有できる機能がそろっているのも特徴。「Instagramライブ」によってリアルタイムでフォロワーとコミュニケーションするインフルエンサーも多くいます。
また、「ショッピング機能」の登場により、投稿から自社ECサイトへ遷移させやすくなり購買に直接つなげることが可能となりました。
さらに、「ブランドコンテンツ広告」の実装により、企業がインフルエンサーの投稿を自社のSNS広告として2次配信を行うことが可能になりました。
また「ブランドとのタイアップタグ」の設置の必須化により、ステマを防ぎ健全なインフルエンサーマーケティングを促す動きも活発化しています。
Twitter(ツイッター)
Twitter(ツイッター)はテキストをメインに投稿するSNSです。投稿は最大140文字まで入力可能で、長すぎずサクッと読めるその手軽さが人気になっています。
大きな特徴はその拡散性の高さで、「リツイート」と呼ばれるシェア機能を使うことで自分の投稿を広く拡散してもらうことができます。
メインユーザーは20代の比較的若い層で、人気のトレンドが目まぐるしく変化します。
Google検索よりもTwitterを使って情報を集める人も増えており、今話題になっている情報やリアルタイムの情報(天気、電車の運行状況など)の検索性に優れているのも特徴です。
上手く活用できれば他のプラットフォームには無い爆発的な拡散が期待できるSNSです。
Facebook(フェイスブック)
Facebook(フェイスブック)は世界一のユーザー数を誇る実名登録制のSNSです。
投稿は文章と画像をあわせたものが多く、シェア機能もあり、スタンダードに扱えるプラットフォームです。「Facebookページ」機能はイベント集客や商品販売など、自社のビジネスページとしても活用できるため多くの企業が利用しています。
実名登録制のSNSであることから、ユーザーの年齢、性別、職業、ライフステージ、興味関心などの詳細なビッグデータを活用したターゲティング精度の高い広告配信が強みです。
メインユーザーは30代~40代。実名登録制なのでFacebookを名刺代わりにビジネスの横のつながりを作るために活用している人も多い印象です。反対に、匿名で気軽にSNSを楽しみたいという10代~20代に対してはPR効果は薄くなります。
ただし、これは「日本において」の話です。
海外では中国を除き最もメジャーなSNSとして、国によってはインフラレベルの人気を獲得していますので、海外マーケティングを行う上ではFacebookは必須のSNSとなります。
TikTok(ティックトック)
TikTokはBGM付きのショートムービーを編集・共有できるSNSです。
豊富なBGMや編集・エフェクト機能により、誰でも簡単におもしろ動画が作れるプラットフォームとして人気。
スマホ全画面の縦型動画がZ世代と相性も良く、10代~20代を中心に人気を獲得しています。
TikTok内でテーマをもった振り付け動画をユーザーに促す「#ハッシュタグチャレンジ」による爆発的な拡散により、TikTokを起点にトレンドを生み出せるのも特徴です。
ハッシュタグチャレンジの火付け役としてインフルエンサーを起用し、オリジナルの楽曲とオリジナルの振り付けを広めるといった施策も多くの企業が行っています。
インフルエンサーマーケティングを成功に導く重要な3つのキャスティング方法
さて、SNSの種類と特長についてもご認識いただけたかと思います。
次はインフルエンサーマーケティングを行う際に重要となる、誰にどのような投稿をしてもらうのかを決定するインフルエンサーキャスティングについて紹介します。
適切なインフルエンサーキャスティングによって、マーケティング全体の整合性を取り、相乗効果のある施策を実現することができますので、キャスティングは慎重に行うことが求められます。
また、施策の規模(予算)から、キャスティングするインフルエンサーの人数や、インフルエンサーの影響力(フォロワー数)が導き出されますので、企画内容も詳細に練っておきましょう。
インフルエンサーをキャスティングするには主に以下の3つの方法があります。
- 自社からインフルエンサーへ直接依頼
- プラットフォーム・ツールを活用して自社でキャスティング
- インフルエンサーマーケティング会社にキャスティングを依頼
さらにキャスティング方法ごとでの自社工数やノウハウの必要性については以下となります。
キャスティング方法 | 連絡方法(アプローチ方法) | 自社ノウハウ | 人的リソース |
---|---|---|---|
直接依頼 | SMS・DM | かなり必要 | かなり必要 |
プラットフォーム | プラットフォーム経由 | 必要 | 必要 |
キャスティング | キャスティング会社経由 | 特段不要 | 特段不要 |
それぞれメリット・デメリットを踏まえ、ご紹介していきます。
1. 自社からインフルエンサーへ直接依頼
キャスティングしたいと考えているインフルエンサーが既に確定している場合、SNSのDMやインフルエンサーのホームページなどから、インフルエンサーに直接連絡する手段もあります。
この手法のメリットは、企業とインフルエンサーが直接やりとりできるため、企業の意図を正確に反映したスピード感のあるPRを行うことができる点です。
また、仲介業者がいないため中間マージンが発生せず、金銭支払がインフルエンサーへの報酬のみとなるのでコストを抑えて実施できる点もメリットです。
デメリットとしては、商品の発送や投稿ディレクション、炎上対策などすべてを自社で行う必要がある点です。また、個人事業主の多いインフルエンサーに対して個別の支払いや源泉徴収の手続き等を自社で行う必要も出てきます。
最近ではキャスティング会社を通さないとPR依頼を受け付けないインフルエンサーが増えていたり、フォロワー買いをしているインフルエンサーを見極める難易度が高くなっている等の課題もあり、現実的な難易度が高い方法と認識しておきましょう。
2. プラットフォーム・ツールを活用して自社でキャスティング
インフルエンサーが登録するインフルエンサープラットフォームを利用することでインフルエンサーの選定やPR依頼を行います。
インフルエンサーのSNSデータをもとに自社にマッチした人物を選定できるメリットがあります。また、ダッシュボード機能により、複数のインフルエンサーへの連絡や投稿の状況を管理したり、効果分析ツールによるレポーティングなどが可能です。
デメリットとしては、インフルエンサーへの商品発送やマネジメントを自社で行う必要がある点や、プラットフォームの月額利用料のほかにキャスティング費用が別途さらに必要になる場合もある点が挙げられます。
過去にインフルエンサーマーケティングを実施したことがあり、自社にインフルエンサーマーケティングに関するノウハウと人的リソースが十分ある場合に特に有効といえる方法です。
3. インフルエンサーマーケティング会社にキャスティングを依頼
インフルエンサーキャスティングを專門する企業に依頼を行うことで以下の点を専門的なノウハウと実績の安心のもと一括代行してもらうことが可能です。
- 目的に沿ったインフルエンサー施策提案
- 過去実績をもとに成果を出せるインフルエンサーの紹介
- 各インフルエンサーとの交渉・報酬支払
- サンプリング品の個別発送やディレクション
- ステマ防止、炎上対策
- 最終的なレポーティング
デメリットとしては、キャスティングサービスの利用料(マージン)が発生することであり、それに見合ったノウハウや業務委託が可能であるかを判断する必要性があります。
自社にインフルエンサー施策のノウハウや人的リソースが無い場合に特に有効です。
依頼する企業の実績やノウハウが豊富であればあるほど、その効果を最大化することができるでしょう。
インフルエンサーを起用するために必要な予算・費用の相場
実際にインフルエンサーを起用する場合に必要な予算がどれくらいなのか、ここでおさえておきましょう。
起用したいSNS・起用したい人物・達成したいマーケティング目標によって必要な費用は左右される
インフルエンサーの起用に必要な費用は下記3つの項目を踏まえた上で決まってきます。
- 活用したいSNS・プラットフォームはどれか
- インフルエンサーとして起用する人物は誰なのか
- どれくらいの規模で目的を実現させたいのか
決定要因を3つにわけると以下のようになります。
1.活用したいSNS・プラットフォームはどれか
インスタグラムでの投稿を通してCVを獲得していきたいのか、それともYouTubeのような動画プラットフォームでの投稿で話題性を集めたいのかといった選択で起用に適している人物が大きく変わってきます。
自社サービスと親和性が高いSNSやプラットフォームを選択するように、競合の事例なども参考にしてみましょう。
2.インフルエンサーとして起用する人物は誰なのか
例えばインスタグラムの場合、芸能人やモデルはもちろん、ある特定の領域に影響力をもつ一般人をインフルエンサーとして起用するという選択肢があります。
すでに幅広い知名度を獲得している芸能人を起用するのと、一部の層に対し強い影響力を持っている一般人を起用する場合では、やはり芸能人の方が費用が高くかかることが多いです。
3.どれくらいの規模で目的を実現させたいのか、
インフルエンサー広告を成功させるためには、インフルエンサーを起用することによって達成したい目標を明確にすることが必須です。
- 「商品をPRしたインフルエンサーの投稿が○回のインプレッションを獲得する?」
- 「インフルエンサーとコラボしたキャンペーン施策を行った結果、施策前と比較して○%認知度が向上させる?」
- 「インフルエンサーの投稿経由のCV(購入、登録など)を何件得る?」
上記のように、成果目標数値によって起用すべきインフルエンサーのタイプや人数が左右されます。
とにかく多くの人の元に投稿が届くようにし、自社の認知度を高めることが目的の場合は一人ではなく複数人のインフルエンサーを起用し、何度か投稿してもらうことが効果的でしょう。
逆に、実際に商品を購入させるといった目的では、むやみに複数人を起用せず、自社と親和性の高い領域で最も強い影響力を持つインフルエンサーに継続的にPR投稿することで、成果につながる場合があります。
このように、インフルエンサーの起用人数や契約期間によっても予算は大きく異なってくるため、まずはこの3つの項目を明確に決めましょう。
インフルエンサーマーケティングの費用は、フォロワー単価「2円~4円」が一般的
インフルエンサーマーケティングの費用・料金相場は、1回のSNS投稿で「フォロワー数×2~4円」が一般的。
たとえば、SNSのフォロワー数が10万人のインフルエンサーに依頼する場合、20万円~40万円が費用の相場となります。
インフルエンサーマーケティングの費用は以下によっても変動しますので抑えておきましょう。
- どのSNSのインフルエンサーに依頼するのか
- フォロワー数が顕著に多いインフルエンサーに依頼する場合の費用はいくらか
正確な費用が知りたい場合は、個別にインフルエンサーマーケティングを提供している会社に相談するのがおすすめです。
なお、店舗へ招待したい、宿泊してほしい、コラボ商品を作りたいなど、場合によりさらに費用が必要になるケースも多くありますので覚えておきましょう。
まとめ
インフルエンサ―広告について今回はご紹介いたしました。費用対効果が基本として高いと言われる中でも、注意していいただくことや、知っておくべきことは多くあります。
成果出すためにも本記事をご参照の上、是非お役立ていただければと思います。