企業がマーケティング目的で利用することも増えてきた人気のSNS「Instagram」。フォロワー獲得や認知拡大に向けて投稿を続けるだけでなく、一気に集客効果を高める「キャンペーン」も活用すると、よりSNSマーケティングの効果が出やすくなります。
この記事では、Instagramを活用したマーケティングでぜひ実践したい「キャンペーン」の概要や注意点、成功事例を詳しく解説。企業のSNS担当者や実店舗経営者の方はぜひ参考にしてみてください。
Instagramのキャンペーンとは?
Instagramのキャンペーンとは、何らかの商品や景品を用意し、特定の条件(フォローやいいね等)を満たしたユーザーに対して抽選でプレゼントする施策のこと。一気にフォロワーを獲得したり、アカウント・サービスの認知を拡大できるのがメリットです。
Instagram上で利用できる広告施策
Instagramで利用できる広告施策で、手間やコストを最小限に抑えつつ、膨大なInstagramのユーザーへ働きかけられるのが魅力でしょう。
リスティング広告やディスプレイ広告に代表されるような通常のWeb広告に比べて反応を得やすく、広告嫌いな一般ユーザーも参加しやすいのが特徴です。その理由は「景品をプレゼントする企画」として打ち出す点にあります。
仕組みとしてはステルスマーケティングに近いですが、広告色を抑えつつ、あくまで「商品や景品をプレゼントしますよ」という形でSNS上に情報を発信するので、YouTube広告のようにユーザーに余計な時間的コストをかけることなく宣伝を実施できるのです。
Instagramのキャンペーンで得られるメリット
- フォロワー増加やサイト訪問者が増加する
- 既存フォロワー以外にも訴求できる
- 特定のエリアや年代でターゲティング可能
それぞれ詳しく見ていきましょう。
フォロワー増加やサイト訪問者増加が見込める
Instagramキャンペーンを実施すれば、フォロワーやサイト訪問者の増加が見込めます。
打ち出したキャンペーンに参加したいユーザーへ「フォローをお願いする」「いいねをお願いする」「リポストやタグ付き投稿をお願いする」ことで、初見ユーザーが新たなフォロワーになったり、自社サイトやサービスサイトへ自然に誘導できたりするのです。
商品や景品にどれだけのコストを費やすかは、業態やキャンペーンによりますが、例えば「3,000円相当の商品を抽選して10名へプレゼント」するキャンペーンであれば、30,000円のコストからスタートできます。
このキャンペーンを広告でさらに拡大することもできますが、まずはこれくらいのコストをかけるだけでも大きなリターンが得られるため、まだInstagramのキャンペーンを使ったことがない方は、ぜひ活用してみましょう。
既存のフォロワー以外にも強く訴求できる
Instagramは拡散機能が充実していないため、新規のフォロワーへ情報を届けにくいSNSです。ユーザーがタグやキーワードで投稿にたどり着かない限り、見つけてもらうことすら困難と言えます。
その点、キャンペーンを活用すれば「#キャンペーン」や「#キャンペーン実施中」などの専用のタグを通して多くのユーザーにリーチできますし、素通りされず、フォローやいいねといったアクションが期待できるのです。
結果として自社の存在を認知してもらったり、商品やサービスの顧客になってくれたりする可能性も高まるので、アカウントを育てる際にも重宝する施策の一つと言えます。
特定のエリアや年代に絞ってアプローチできる
Instagramでキャンペーンを実施する際に上手くハッシュタグを利用すれば、エリアや年代でフィルタリングをし、狙ったターゲットへ的確にキャンペーン情報を届けられます。
特定のエリアに住む20代の女性がターゲットなのであれば、キャプション(文章欄)にハッシュタグとしてエリア名や20代の女性が調べているキーワードを組み込めば、より的確にターゲットのもとへ情報を提供できるでしょう。
参考にしたいのは、同じターゲットを狙っている競合他社のキャンペーンです。どんなデザインの画像を使っているのか、ハッシュタグは何を選んでいるのか、文章の書き方は、など吸収できる点を参考にしながら自社のキャンペーンを作りこんでいきましょう。
Instagramのキャンペーンに取り組む方法や手順
Instagramのキャンペーンに取り組むためにはいくつかの手順を踏まなければなりません。ここからは、キャンペーンを実施するための具体的な手順を解説します。
Instagramキャンペーンの流れ
まずは大枠としてInstagramキャンペーンの流れを把握しておきましょう。
- 企画内容を決定する
- 得たい結果から逆算して応募条件を設定する
- キャンペーンとして掲載する広告画像を作成する
- キャンペーンの設定を済ませて実施する
それぞれ詳しく見ていきます。
1:企画内容を決定する
まずは企画の内容を決定します。Instagramキャンペーンでは、「抽選で〇名様に〇〇をプレゼント」といった懸賞形式が一般的です。効果も充分期待できるので、懸賞形式で進めてみましょう。
企画内容として重要な景品・商品や予算、抽選方法を決定します。SNS担当者が一人で行う場合は、実現可能な規模のキャンペーンを実施することが大切です。「100名へプレゼント」とすればヒキは強くなりますが、抽選に時間がかかってしまいます。
2:得たい結果から逆算して応募条件を設定する
最も大切な「キャンペーンを通して得たい結果」を明確にし、キャンペーンへの応募条件を設定します。フォロワーを得たいなら「フォロー」や「いいね」などを条件に設定し、キャンペーンを通してフォロワーが獲得できるような条件を設定しましょう。
後述しますが、Instagramのキャンペーンで「フォロー」や「いいね」を強要することは規約違反に当たります。あくまで「お願い」や「推奨」に留めておかないと、思わぬトラブルに遭ったりペナルティを受けたりするリスクがあるため注意しましょう。
3:キャンペーンとして掲載する広告画像を作成する
基本的にキャンペーンは通常の投稿として掲載するため、チラシのような画像(バナー)を制作し、景品や抽選の人数、期間などが伝わるようにして発信します。
単に情報を羅列するのではなく、景品のイメージを損なわず、ターゲットが思わず応募したくなるようなデザインに仕上げることがポイント。自社にデザインを担当できる人材がいない場合は外部へ依頼するのも視野に入れて広告画像を制作しましょう。
4:キャンペーンの設定を済ませて実施する
広告画像の制作が完了したら、キャンペーンの設定を済ませて画像を投稿します。Instagramキャンペーンの設定にはFacebookのアカウントが必要なので、あらかじめ把握しておくと良いでしょう。
細かな設定方法については次章で解説します。
Instagramキャンペーンの実施手順
Instagramキャンペーンの実施手順は以下のとおりです。
- Facebookページを用意する
- FacebookページとInstagramアカウントを連携させる
- 使用するハッシュタグを決める
- Instagramをビジネスアカウントに切り替える
- キャンペーン画像を投稿する
それぞれ詳しく見ていきます。
1:Facebookページの用意を進める
まずはFacebookページの用意を進めます。Instagramキャンペーンを実施するにはFacebookとの連携が必要ですが、その準備としてFacebookページを作成しておかなければなりません。
FacebookページはFacebookアカウントを持っていればすぐに作成できるので、この機会に作っておくとよいでしょう。Facebookページの設定方法 | Facebook Businessを開き、「Facebookページを作成」ボタンをクリック。表示される手順に沿ってページを作成します。
作成したFacebookページにアクセスしたまま、Instagramとの連携を行いましょう。
2:FacebookページとInstagramアカウントを連携させる
Facebookページ右上の「設定」から「Instagram」を開き、キャンペーンを行うInstagramアカウントへログインします。これでFacebookとInstagramの連携は完了し、両者のアカウントが紐づくので準備は万全です。
3:使用する「#ハッシュタグ」を決める
Instagramのキャンペーンでは、少なくとも2つのハッシュタグを設定します。ひとつは、そのキャンペーンを象徴する意味でも独自のハッシュタグを。もうひとつはよく使用されている「キャンペーン」や「キャンペーン実施中」などの見つけてもらいやすいタグを設定しましょう。
あまり多く付けすぎると広告感が増してしまいますが、少なすぎても応募数が減ってしまいます。考え方としては、軸として使用するタグを決めて、その周辺のタグを拾っていくのが良いでしょう。
軸となるタグを決められない場合は、競合他社のタグ設定を参考にしてみることをおすすめします。
4:Instagramをビジネスアカウントに切り替える
必須ではありませんが、もしまだ切り替えていない場合はこの機会にビジネスアカウントに切り替えておくことをおすすめします。ビジネスアカウントに切り替えると、Instagramの機能である「インサイト」が利用でき、今後の分析に役立つのです。
キャンペーンの実施はフォロワーが増加したりエンゲージメントが増えたりするきっかけにもなるので、このタイミングで定期的な分析を行える状況を作っておきましょう。
5:キャンペーン画像を投稿する
いよいよキャンペーン画像を投稿し、キャンペーンスタートです。もし反応が芳しくなかったり、もう少し予算をかけたりできる場合は、キャンペーンの投稿を、広告でさらに広く届けるのもおすすめ。
広告で細かなターゲティングを行えば、狙ったターゲットへピンポイントで情報を提供できるので、余裕があれば活用してみましょう。
Instagramのキャンペーンを成功させるコツとは?
- 求める成果やゴールを明確に
- 予算と成果のバランスを算出する
- 景品は渋らないほうが◎
- キャンペーン画像が成功のカギ
- 応募者をファンにする「コミュニケーション」
それぞれ詳しく見ていきます。
求める成果やゴール(KGI)を明確にする
キャンペーンをやみくもに実施するのではなく、まずは求める成果やゴールを明確にしておくことが大切です。明確な目的がないと、キャンペーンが成功だったのか失敗だったのか評価することもままなりません。
まずは今のInstagramアカウントの状況を整理し、足りない要素を抽出します。多くの場合はフォロワーの獲得が目的になりますが、具体的に何人のフォロワーを獲得したいのか、いつまでに獲得したいのかを明確にしましょう。
予算と成果のバランスを計算しておく
キャンペーンの景品を用意するための予算や、広告を回す場合はその費用も踏まえたコストを算出しておきましょう。そして、先述した「目的」や「成果」は、その予算に見合った目的・成果なのか、改めて検討するのが大切です。
例えば、1日に1人のペースでフォロワーが増加しているのであれば、今の更新頻度なら一ヶ月で30人の増加が見込めます。しかし、キャンペーンに50,000円の予算を割けば短期間で100人のフォロワーが手に入るとしましょう。
「100人のフォロワーを獲得したい」「どうしてもすぐに拡散力が欲しい」という場合は、100人以上のフォロワーが得られるようなキャンペーンを、予算を割いてでも打ち出すべきですが、そうでないのなら今の水準で更新し続けるのも良いでしょう。
ポイントは「その予算を割いて今すぐキャンペーンを実施する必要があるのか」という問いに答えられるか否かです。明確な理由や目的がないまま予算を割いてInstagramキャンペーンを打ち出した場合、仮に成功したとしてもメリットは得られません。
「そのコストを割く理由」と「得られるメリット」がしっかりと見えている場合は、Instagramのキャンペーンが成功しやすいと言えるでしょう。
景品を渋ると応募が奮わない可能性も
Instagramには今この瞬間も数々のキャンペーン企画が掲載されています。そのため、こちらが「キャンペーンをやります!」と掲載しても、他の企画に紛れて見落とされてしまうかもしれません。
キャンペーンに応募するユーザーの立場になると、「当たってもそんなに嬉しくないな」と思うキャンペーンにはわざわざ応募しません。それ以外に、もっと興味があったりお得だったりするキャンペーンがたくさん存在するためです。
これらの理由から、景品を渋って掲載すると、応募が少ないまま期間が終了し、望んだ成果が得られない可能性があります。まずは既に掲載されている他者のキャンペーンや反響を調査し、アタリを付けるところから始めてみるのがおすすめです。
魅力的なキャンペーン画像を制作する
Instagram上で溢れるほどに投稿されているキャンペーンの中で目立つ方法は、景品を豪華にすることだけではありません。魅力的で目を惹くデザインのキャンペーン画像を制作することも、ライバルに打ち勝つ重要な要素です。
まったくデザインに触れたことがない方でも、「canva」というサービスを活用すれば、豊富なテンプレートを活用して、無料で美しいデザインのバナーが制作できるので、ぜひ利用してみましょう。もちろん、デザイナーに依頼するのも有力な選択肢の一つです。
応募者とのコミュニケーションも忘れずに
応募してきたユーザーは少なからず自社や自社の商品、景品、サービスに興味を持ってくれた大切な見込み顧客です。今後の良好な関係を保つためにも、かるい挨拶からコミュニケーションを取っていきましょう。
単なる応募者と企業という距離感のままでは、せっかく触れ合う機会を得たユーザーとの溝が埋まりません。キャンペーンが終わった後も興味を持ち続けてもらうために、こちらからアクションを取ることを忘れずに。
うまい話しかけ方が分からない場合は、フォローやいいねをするだけでも充分効果的です。
Instagramのキャンペーンでペナルティを受けないための注意点
Instagramはキャンペーンを禁止してはいませんが、悪質なキャンペーンに対しては厳しい態度を貫いています。
最悪の場合はアカウントの凍結やアカウント削除などの措置も取られてしまうため、あらかじめ、どのようなキャンペーンなら問題ないのか把握しておきましょう。
設定できる景品のタイプを把握しておく
Instagramキャンペーンで利用できない景品は明確に決められており、「現金」や「金券」はすべて禁止されています。商品券や商品そのものは禁止されていないので、景品に自社の商品を利用できない業態や業種の場合はそれらを利用するのが良いでしょう。
meta社とは関連のないキャンペーンだと明記する
InstagramならびにFacebookを運営するmeta社とは関係のないキャンペーンである、と明記しておくと、ペナルティを受ける可能性がさらに低くなります。
meta社としては、Instagramのブランドを損なう投稿が溢れないよう、現金や金券を配る旨の投稿が多くの人の目に留まる状況を拒んでいるのです。また、こういった投稿の中には悪徳業者の広報も含まれやすく、犯罪の温床にもなりかねません。
これらのリスクを解消しつつ、運営会社であるmeta社への礼儀としても、キャンペーンのキャプション内に「本キャンペーンはInstagramならびにmeta社とは関係のない独自の企画です」といった旨を記載しておくと良いでしょう。
抽選や応募方法をはっきりと明記する
抽選方法や応募方法をはっきりと明記しておかないと、ユーザーから疑いの眼差しを向けられたり、ペナルティを受けたりする恐れがあります。とくに応募方法は分かりやすく伝えておかないと、ユーザーの応募数が著しく減少する可能性があるので注意しましょう。
可能であれば、応募方法まですっきり伝わるような分かりやすいデザインのバナーを制作しておくことをおすすめします。
Instagramのキャンペーンを活用した成功事例
Instagramのキャンペーンを活用する企業は少なくありません。ここでは、参考になる好事例を3つご紹介します。
【事例1】FAUCHON Japan
2022年4月現在で2.5万人のフォロワーを擁するFAUCHON Japanは、2020年10月にInstagramキャンペーンを実施。普段の投稿の雰囲気を壊さない写真を使い、季節感も取り入れながら応募方法をシンプルに記載しています。
注目すべきはキャプション部分の文章です。注意事項として、あらかじめトラブル回避になる文言を記載しているので、ユーザーも安心して応募できているのでしょう。画像と文章のいずれも参考にしたい好事例です。
【事例2】卵のイセ食品
2020年11月に投稿された卵のイセ食品のキャンペーンでは、8,000件を超えるいいねが寄せられ、大きな反響を読んでいます。扱っている商品の魅力が伝わる、キャッチーなバナー画像が特徴的です。
参加方法や募集期間、注意事項などが明記されており、ユーザーにとっても分かりやすいキャンペーンに仕上がっています。
【事例3】島根県
自治体の島根県もInstagramキャンペーンを活用した地域おこしに取り組んでいます。キャンペーンの目的が一目で伝わるデザインのバナーを使用し、期間やタグ、景品などもしっかりと明記されたデザインです。
ポイントは、キャンペーンへの参加が「いいね」ではなく「島根県観光振興課」のアカウントIDと指定タグを貼り付けたうえで、「島根の魅力を発信する投稿をすること」と定めている点。キャンペーンによる観光者の増加や波及効果も見据えているのがポイントです。
フォトコンの特長とInstagramキャンペーンのメリットを両立させた好事例。観光関連の業界であれば、このモデルをそのまま流用するだけでも、かなり効果的なキャンペーンが実施できるのではないでしょうか。
Instagramのキャンペーンを活用してサービスの認知を拡大しよう
InstagramをはじめとしたSNSでは、企業がマーケティングに活かせる様々な機能が拡充されており、これまでより多くの方法で広報を実施できるようになりました。その中のひとつがInstagramキャンペーンです。
この記事で紹介した内容を参考にしつつ、ぜひInstagramのキャンペーンに取り組んでみましょう。