スマートフォンの普及により、私たちの生活になくてはならない存在のSNS。個人によるSNS発信だけでなく、企業が自社でアカウントを持ち、SNS運用を行う事例が増えています。
本記事では、企業がSNSを活用する目的から、InstagramとTiktokの二つのSNSにて、国内で最もフォロワー数の多い企業アカウントを紹介し、成功事例から見えた共通点を解説します。
企業がSNSアカウントを運用する目的
まず、企業がSNSアカウントを運用する目的について解説していきます。企業がSNSアカウントを運用する目的は、主に以下の4つが挙げられます。
- 商品やサービスの認知拡大
- ブランディング
- 企業のイメージアップ
- 新規ファンの獲得
まずは、それぞれの理由について解説していきましょう。
商品やサービスの認知拡大
SNSを活用する最大の目的と言っても過言ではないのが「認知拡大」です。SNSではシェアなどで情報が拡散されると、その他のユーザーにも情報が伝わります。
SNSでバズる投稿を行うことができれば、一気に自社商品を広めるだけでなく、自社の世界観を演出した投稿をすることでブランド認知にもつなげることができます。
商品やサービスの情報収集のためにSNSを利用しているユーザーも多いため、SNSはユーザーに商品やサービスを認知してもらう場として最適です。
ブランディング
従来のマスに向けたブランディングを行う方法としてテレビCMが一般的でしたが、現在ではYouTubeやInstagramを活用して、多くのユーザーにブランドの世界観を届けることができます。
また、従来型のマス向け施策と比較して、コンテンツの自由度が高く、費用も低額で済むため、より効果的にブランディングを行うことができる環境となっています。
例えば、Instagramで多くのユーザーを抱える「北欧暮らしの道具店」では、ECサイトだけでなく、動画コンテンツや、音楽コンテンツ・ラジオコンテンツなど、ライフスタイルに関わるものを通して、世界観を演出しています。
その結果、多くのユーザーから「北欧暮らしの道具店で描かれているような生活がしたい」と認知され、ECサイトでの売上に貢献しています。
このように、SNSでは多方面で施策を行うことでブランドの世界観を従来の手法よりも効果的に伝えることができるため、ぜひ企業は取り組むべき施策と言えます。
企業のイメージアップ
SNSを用いた企業が発信するコンテンツを通して、フォロワーに「企業が行っていること」や「商品やサービスのアピール」が行えるため、企業イメージの定着からイメージアップへと繋げることができます。
また、Twitterなどでは、企業の中の人として「あえて公式感を無くしたアカウント」を運用することでユーザーから好感を得ているアカウントも存在します。
例えばシャープでは、公式感を無くした投稿や、ユーザーにあえてツッコませる投稿を行うことでコミュニケーションだけでなく話題性も作ることができています。
見事なかき氷の写真が唐突に会社のメールに送られてきて、怪訝に思いつつ「そういえば今年の夏はかき氷食べてないな」としんみりしてる pic.twitter.com/epZwuM2jtm
— SHARP シャープ株式会社 (@SHARP_JP) August 26, 2022
SHARP公式アカウントでいきなりかき氷の写真がアップされたら、それこそびっくりしますが、あえてこういった投稿を行うことでブランディングにも活用しています。
新規ファンの獲得
SNSを通じてコメントやいいねなど、ユーザーとコミュニケーションを取ることができるのもSNSの特徴です。
自社の企業アカウントをフォローするユーザーメリットを提供できているか、SNSで発信した商品を購入してくれるなど、企業に取って有益な行動を取ってくれるユーザー(ファン)を増やすための流れをSNSでは構築できます。
Instagramのフォロワー数の多い国内企業アカウントTOP5!
まずは国内で、Instagramのフォロワー数の多い企業アカウントをご紹介していきます。
5位 kurashiru [クラシル]
4位 TOYOTA
3位 デリッシュキッチン
2位 Honda
1位 Nissan
5位 kurashiru [クラシル]
- 企業名:dely株式会社
- フォロワー数:4,270,000
Instagramフォロワーランキング第5位は10万件以上のレシピが集まるレシピ動画アプリ「クラシル」の公式Instagramです。
クラシルがフォロワー数を多く集めている要因としては主に以下の2つが挙げられます。
- 料理をショート動画にまとめることで簡単に作れるイメージが湧く
- 一つの食材から複数のレシピを展開している
下記の投稿では、一つの食材で一つのレシピではなく、一つの食材から複数のレシピをの投稿を行っており、ユーザーが保存したい、また見たいと思えるコンテンツを作っています。
こういった複数のレシピを視聴者に提案している点が、ユーザーに取ってレシピの参考になり有益な情報が提供されていることによる、フォロワーの獲得に繋がっているのだと考えます。
4位 TOYOTA
- 企業名:トヨタ自動車株式会社
- フォロワー数:4,510,000
自動車の国内トップシェアを誇る、トヨタの公式Instagramですが、フォロワー数が多い要因として以下の2つが挙げられます。
- 海外に向けて英語を用いた情報発信を行っている
- 車によって背景を変えるなど「車の見せ方」に工夫がある
下記の投稿では、山道などの塗装がされていない険しい道でも走れるような性能を表現しており、車によって動画や写真など使い分けを行い、ユーザーの想像を駆り立てるような見せ方が行われている考えます。
3位 デリッシュキッチン
- 企業名:株式会社エブリー
- フォロワー数:4,560,000
国内No.1のレシピ動画数を誇る、デリッシュキッチンの公式Instagramです。
1つの食材から複数のレシピをまとめた動画内容を展開し、誰でも簡単に作れるレシピ動画の投稿を行っています。
デリッシュキッチンのフォロワー数を獲得できている要因としては「短時間で簡単に誰でも調理できる」内容を投稿している点です。
下記の投稿では、「レンジ」「3分」「混ぜるだけ」などの簡単に思えるキーワードを主軸にコンテンツを作成しています。
クラシルとの差別化として、「簡単」に特化したコンテンツが人気の秘密であると言えます。
2位 Honda
- 企業名:本田技研工業
- フォロワー数:4,690,000
自動車の国内シェア3位、ホンダの公式Instagramがフォロワー数を多く獲得できている要因としては以下の2つがあります。
- 海外に向けて英語の内容で投稿を行っている点
- リール動画で車の特徴を分かりやすく解説している点
下記の投稿では、文章での説明ではなく、動画を用いた短時間で車の特徴を表した内容を発信することにより、ユーザーの理解やイメージがしやすく、購買意欲をそそるような内容を展開できています。
1位 Nissan
- 企業名:日産自動車株式会社
- フォロワー数:6,530,000
自動車の国内シェア2位、日産の公式Instagramですが、日産がフォロワー数を多く獲得できている要因としては以下の2つがあります。
- 海外ユーザーに絞り適切なハッシュタグを選定している
- 車毎に様々なシチュエーションでの投稿を行っている
下記の投稿では、画像に文章などは使用せず、町を走る日常的なシーンから夜の道を走るシーンなど、無駄な情報を省いた車の特徴やイメージをユーザーにより強く印象を持っていただけるよう、投稿内容が支持されている要因だと考えます。
Tiktokのフォロワー数の多い国内企業アカウントTOP5!
続いて国内で、TIktokのフォロワー数の多い企業アカウントを紹介していきます。
5位 長崎バイオパークNAGA BIOPARK
4位 sanrio
3位 テレ朝news
2位 DaikyoSecurityCompany/大京警備保
1位 Pokémon/ポケモン
5位 長崎バイオパークNAGA BIOPARK
- 企業名:バイオパーク株式会社
- フォロワー数:1,400,000
長崎にある動物園「長崎バイオパーク」の公式Tiktokです。フォロワー数を多く集めている要因として、以下の2つがあります。
- 動物の名前を日本語と英語両方を入れるなど、海外の動物好きの方にも情報発信している
- 動物達の迫力のある映像が投稿されている点
下記の投稿では、普段なら中々近くで見ることができない、動物達の餌やりや日常の様子などレアなシーン投稿している点も、ユーザーの需要や興味を引き立て、多くのフォロワー獲得に繋がっている点だと考えます。
@nagasakibiopark #カバ の#スイカ #咀嚼音 。#hippo #watermelon #asmr . #食べる音 #動物 #animals #CapCut ♬ オリジナル楽曲 – 長崎バイオパークNAGA BIOPARK
4位 sanrio
- 企業名:株式会社サンリオ
- フォロワー数:1,800,000
ハローキティやマイメロディなどの人気キャラクターを擁する、サンリオの公式Tiktokです。
サンリオは海外にもファンが多くいるブランドのため、国内外両方に発信を行っています。
また、下記の投稿のように、キャラクターのオフ動画を配信し、通常のサンリオピューロランドでは見れないキャラクターの姿が人気を博しています。
@sanrio Replying to @fr0g0cuts OFC bestie! 💖💙💛 #sanrio #cinnamoroll #pompompurin #hiimdory #dance #foryou #fyp ♬ Hi I’m Dory! – strawbwearyzvsp
3位 テレ朝news
- 企業名:株式会社テレビ朝日
- フォロワー数:2,000,000
テレビ朝日のニュース情報サイト「テレ朝news」の公式Tiktokです。
テレ朝Newsでは、ニュースを1分~2の短い動画時間で、随時投稿を行っており、隙間時間に情報を取得したいユーザーにとって有意義なコンテンツとなっています。
テレビでは長いニュース番組も短い時間でまとめられているため、分かりやすくTiktokで情報収集を行っているユーザーに支持されていることがフォロワー獲得に繋がっています。
2つ目はニュース内容によっては、コメントでユーザー同士の意見が行われている点です。
@tv_asahi_news 校長の“神対応”に反響 夏休み明け「学校来るだけで十分」#テレ朝news #tiktokでニュース ♬ オリジナル楽曲 – テレ朝news【公式】
夏休みや学校など、子供も大人も経験のある内容では多くのいいねやコメントを確認できています。
結果として他のユーザーにも拡散され、他の投稿している動画が閲覧されたり、フォロワーの獲得に繋がっていると考えます。
2位 DaikyoSecurityCompany/大京警備保
- 企業名:大京警備保障株式会社
- フォロワー数:2,700,000
東京にある警備会社「大京警備保障株式会社」の公式Tiktokです。
このアカウントでは、社長や社員が出演し、会社の認知拡大や、ユーザーに興味を持ってもらう仕組みができています。
2つ目は警備会社のイメージとギャップのある内容を投稿している点です。
下記の投稿では警備会社や社長・部長など、一般的に持たれやすい固いイメージに対して、音源に合わせた動きなどギャップを含んだ動画が多くの人に反響を呼んでいるのだと考えます。
@dkykeibi_tokyo 仕事終わりのテンション!!After work!!
♬ original sound – 😶🌫️💪🏾♾👻⚡️🤔
1位 Pokémon/ポケモン
- 企業名:株式会社ポケモン
- フォロワー数:3,200,000
世界的な人気を誇る、ポケモンの公式Tiktokです。
ポケモンの公式アカウントは全世界にユーザーがいるコンテンツだけあり、海外のユーザーにも伝わるような英語の説明文やハッシュタグを用いています。
国内外で人気のコンテンツであるため、説明文やハッシュタグ、字幕でも英語が含まれており、海外のファンにも新商品やサービスの情報が届くような投稿が行われています。
また、非言語のコミュニケーションも取り入れているため、国内外問わず人気があるアカウントとなっています。
下記の投稿ではポケモンの着ぐるみの起用や、音源に合わせたダンスなど非言語的コミュニケーションを通して、ゲームやアニメの情報など発信するコンテンツに合わせて、幅広い動画を展開しています。
それが国内外の多くのファンに支持されているのだと考えます。
@pokemon ヤドンはカメラが好きみたい🤭 Slowpoke seems to like the camera🤭 #ポケモン #ポケットモンスター #ピカチュウ #ヤドン #イーブイ #Pokémon #pokemon #Pikachu #Slowpoke #Eevee ♬ Funny pops by recorder and xylophone – Illmatic Sound
Instagramでフォロワー数の多い国内企業アカウントの共通点
ここまで紹介した、5つのInstagramの企業アカウントで見られた共通点は、以下の3つがあります。
- 特化した内容の投稿を行っている点
- プロフィールページに統一性がある点
- 自社でキャンペーンハッシュタグを設定している点
特化した内容の投稿を行っている点
車や料理など、1つのテーマに絞った「特化型のコンテンツ」である共通点があります。
これにより「車に興味のあるユーザー」「料理に興味のあるユーザー」を重点的に集めることができます。興味関心のあるユーザーがフォロワーに集まるため、いいねやコメントなどエンゲージメント率の向上にも直結します。
プロフィールページに統一性がある点
プロフィールページを閲覧した人が、一目で「何のコンテンツを扱っているアカウント」であるか認識できる、プロフィールページの設計が共通して行われています。
前述の特化した内容にも通ずる部分ですが、ページに統一性が表れます。プロフィールページの見え方を改善する事で、初めて自社のアカウントを訪れた人により認知していただける、アカウントの設計が必要です。
自社でキャンペーンハッシュタグを設定している点
自社名のハッシュタグ設定はもちろんのこと、「#〇〇で投稿してください」と呼びかけや自社でハッシュタグを作る動きが見られます。
自社の商品やサービスを利用した方に、キャンペーンハッシュタグを入れて投稿していただくことで、そのユーザーのフォロワーにも拡散されたり、より自社の認知のきっかけが拡がる動きに繋がります。
Tiktokでフォロワー数の多い企業アカウントの共通点
続いて5つのTiktokの企業アカウントで見られた共通点は、以下の3つがあります。
- 出演者が固定で決まっている点
- 日本と海外のユーザーどちらにも伝わる文章とハッシュタグ設定
- 非言語的コミュニケーションを取り入れた内容
出演者が固定で決まっている点
共通してキャラクターや社員など、動画に出演する演者が決まっています。
これにより「この企業と言えばこのキャラクター」「この会社と言えばこの人」といった、ブランディングを可能にします。
一方で毎回出演者が変わると、ユーザーへの情報量が増え、本来の伝えたい内容に余計な情報が加わることになります。必要な情報かの判断を行うと共に冒頭でも記載した、SNSの運用目的を達成できるような内容に精査する必要があります。
日本と海外のユーザーどちらにも伝わる文章とハッシュタグ設定
動画の説明文を確認すると、日本語と英語両方の説明書きがある事に気づきました。
また、ハッシュタグも同様に両方が設定されています。TIktokもInstagram同様にハッシュタグ検索が可能であり、詳細に自分の見たい動画をユーザーは検索することができます。
自社が求めるユーザーの「検索するかもしれないワード」を想定し、説明文やをハッシュタグの設定を行う必要があります。
非言語的コミュニケーションを取り入れた内容
日本だけでなく、海外にも拡散される可能性のあるTiktok。日本語を喋る内容では海外のユーザーに伝わりません。
そこで流行っている音源を取り入れたり、表情や動き、服装など言葉の壁が必要のない「非言語的コミュニケーション」を用いた動画が、人気を集めている特徴にあり、企業アカウントもそれを取り入れています。
まとめ
InstagramとTiktok、それぞれ国内でフォロワー数の多い企業アカウントを上位5つずつご紹介しました。
既に自社でSNSアカウントを運用している方も、これから運用開始使用している方も、運用目的の理解と情報を届けたいユーザーを常に意識し、アカウント設計とSNS運用を行っていく必要があります。